「ご認識のほどよろしくお願いいたします」というフレーズは、ある事柄に関して相手に詳細な理解をお願いするための礼儀正しい表現とはいえます。
「認識」とは 物事をはっきりと見分け、判断することを意味します。 それに「御」という丁寧語をつけていますので、目上の人や取引先に対する言葉づかいとしても間違いだとはいえません。
ただ、私はこの言葉には”違和感”を持ちます。それは なんとなく上から目線の「ちゃんと理解してくださいね!」っていわれている感じがするからです。
「ご認識のほどよろしくお願いいたします」に代わるいい方をご紹介します。
「ご了承のほどよろしくお願いいたします」はよく使われる
上司やビジネス関係者への対応では、「ご了承のほどよろしくお願いいたします」と表現を変えたほうがいいです。こちらの「ご了承」は、状況を理解し納得することを意味し、より平等な立場で使用できる表現です。
「ご了承のほどよろしくお願いいたします」というフレーズは、複数の要素が組み合わさって構成されています。ここでの「ご」は、敬意を表すために相手の行動や状況に付け加えられる接頭辞です。
「了承」とは、特定の事情を理解し受け入れることを意味します。「の」は文法上の助詞であり、「ほど」は絶対的な断定を避ける際に用いられます。
「よろしく」は「良い」という形容詞の連用形であり、「お」は自己の行動を謙遜するための接頭辞です。「願い」という言葉は、「希望する」という動詞の連用形で、何かを実現してほしいという意味を持ちます。
「いたします」は「する」という動詞の謙譲形「いたす」に丁寧語が加わった表現です。これら尊敬語、謙譲語、丁寧語の組み合わせにより、上位者やビジネスシーンでの使用に適しています。
「ご了承のほどよろしくお願いいたします」の使用例
ご了承のほどよろしくお願いいたします」というフレーズの使用例とその文脈は以下のようになります。
使用例1
「この度のシステムメンテナンスに伴い、サービスが一時的に利用不可となります。ご不便をおかけしますが、何卒ご了承のほどよろしくお願いいたします。」
この文例では、システムメンテナンスによるサービスの一時的な中断を告知し、理解と協力を求めています。
使用例2
「商品の配送には通常より時間がかかる場合がございます。予めご了承のほど、お客様のご理解を賜りますようお願いいたします。」
こちらでは、配送の遅延をお知らせし、お客様に事前の了解を得るための表現を用いています。
使用例3
「当店の休業日は毎週月曜日となっております。ご来店の際は、ご注意いただき、ご了承のほどよろしくお願いいたします。」
この例では、店舗の定休日に関する情報を提供し、顧客にその点を事前に了解してもらうためのフレーズを使っています。
これらの文例は、ビジネスシーンでの礼儀正しいコミュニケーションを目的としています。
「ご認識のほどよろしくお願いいたします」を使う際の注意点
「ご認識のほどよろしくお願いいたします」という表現を使用する際には、以下の点に注意することが重要です。
- 文脈の適切さ:
- この表現は、相手に対して情報や状況を理解し、受け入れてもらいたい場合に使われます。ビジネスの場面では特に、変更や新しいルール、指示事項を伝える際に使用されることが多いです。
- 敬語の使用:
- 「ご認識のほどよろしくお願いいたします」は敬語表現ですが、相手の立場や関係性を考慮して使う必要があります。あまりに丁寧すぎる表現は、カジュアルなシチュエーションには適しません。また、過度に畏まった表現が相手に負担を感じさせる場合もあります。
- 明確な情報提供:
- このフレーズを使う際には、相手に伝える情報が明確であることが求められます。曖昧な説明のままでは、相手が認識すべき内容が不明確になり、混乱を招く可能性があります。具体的な情報や指示を添えることで、相手の理解を助けることが重要です。
- 使用頻度:
- 同じ表現を頻繁に使用すると、形式的で冷たい印象を与えることがあります。状況に応じて、他の表現を交えるなど、言葉のバリエーションを持たせることが大切です。
例: 「来月より新しい勤務時間が適用されます。詳細は添付の文書をご覧いただき、ご認識のほどよろしくお願いいたします。」
このように、具体的な情報を明示し、相手に理解と協力を求める形で使うと効果的です。
「ご認識のほどよろしくお願いいたします」を使ったメール例
メール例 1: 新しい勤務時間の通知
件名:新しい勤務時間の導入について
各位
平素よりお世話になっております。
この度、弊社では来月より新しい勤務時間を導入することとなりました。具体的な勤務時間の変更内容については、添付の文書をご確認いただけますようお願い申し上げます。
新しい勤務時間に関しまして、何かご不明点がございましたら、遠慮なくご連絡ください。
ご認識のほどよろしくお願いいたします。
山田太郎 総務部
メール例 2: 社内ルール変更のお知らせ
件名:社内ルール変更のご案内
社員各位
お疲れ様です。
来月より、社内ルールの一部が変更となります。新しいルールの詳細は、社内ポータルサイトに掲載しておりますので、ご確認のほどお願い申し上げます。
ルール変更に伴い、業務の進め方にも若干の変更が生じる可能性がございます。各自、詳細を確認の上、業務に反映していただけますようお願いいたします。
ご認識のほどよろしくお願いいたします。
何かご質問等がございましたら、私までご連絡ください。
よろしくお願いいたします。
佐藤花子 人事部
メール例 3: システムメンテナンスのご案内
件名:システムメンテナンスのお知らせ
各位
お世話になっております。
弊社では、以下の日程でシステムメンテナンスを実施いたします。メンテナンス中は、システムの一部機能がご利用いただけなくなりますので、あらかじめご了承ください。
メンテナンス日時: 日時:○月○日(○)○時〜○時
ご迷惑をおかけいたしますが、システムの安定稼働を確保するための措置ですので、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
詳細は添付の文書をご確認ください。
ご認識のほどよろしくお願いいたします。
田中次郎 IT部
「ご認識のほどよろしくお願いいたします」の代わりとなる類語
「ご認識のほどよろしくお願いいたします」の表現は、「何だか偉そうに聞こえる、批判的に聞こえる」と思う方々がいます。
より良いコミュニケーションを取るためにはこの表現を控え、次のようないい方に変えたほうがいいです。
「ご理解のほどよろしくお願いいたします」
「理解」という言葉は、「他人の感情や状況を感じ取る能力」と定義され、ビジネスシーンにおける願い事やお詫びの際に広く活用されています。
「ご理解のほどよろしくお願いいたします」というフレーズを使用した文例です。
文例1
「工事に伴い、当社のサービスが一時的に中断されます。お客様にはご不便をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。」
この文例では、工事によるサービスの一時的な停止について、顧客の理解と協力を求めています。
文例2
「来月からの新しい業務方針について、従業員の皆様には変更点を把握し適応していただきたいと思います。この移行期間中のご協力とご理解のほどよろしくお願いいたします。」
こちらの例文では、業務方針の変更に関して従業員に理解と適応を促し、その協力をお願いしています。
これらの文例は、ビジネスシーンでの丁寧な表現として適切に使われています。
「お含みおきくださいますようお願いいたします」
「お含みおき」という表現は、「特定の情報を頭に留めておく」というニュアンスを持ち、何かを受け入れてもらうための間接的な依頼の言い回しです。
以下は、「お含みおきくださいますようお願いいたします」という表現を使用した文例です。
文例1
「本件の詳細につきましては、後日改めてご説明させていただきます。それまでの間、お含みおきくださいますようお願いいたします。」
この文例では、何かの事情を後で詳しく説明する予定であり、その情報を暫く心に留めておいてほしいとお願いしています。
文例2
「プロジェクトの進行に伴い、予期せぬ遅延が発生しております。現在解決に向けて努力しておりますので、お含みおきくださいますようお願いいたします。」
こちらの文例では、プロジェクトの遅れに関して理解を求め、その状況を暫く念頭に置いておくように依頼しています。
これらの文例は、ビジネスコミュニケーションにおいて、柔らかい表現で相手に情報の保持を依頼する際に適しています。
「ご承知おきください」を英語ではどう伝えているかをご紹介
“Please be advised”は、「ご承知おきください」という意味で使われる簡潔な表現です。
例えば、”Please be advised that the meeting has been rescheduled.”(会議の日程が変更されたことをお知らせします。)
また、”Please note”は、「注意してください」というニュアンスを含む表現です。
この場合の例文は、”Please note that the price has changed.”(価格が変更されたことをご確認ください。)
さらに、よりカジュアルな表現として”Give a thought”があります。
こちらの例文は、”Give a thought to our proposal.”(私たちの提案を検討してください。)です。
まとめ
この記事では、「ご認識のほどよろしくお願いいたします」に代わる表現として「ご了承のほどよろしくお願いいたします」というフレーズを詳しく紹介しました。
この表現は、特定の状況に対して、相手に理解と受容を求める礼儀正しい言葉づかいとして覚えておくといいです。