退職届・退職願に印鑑は必要?押印なし・認印・シャチハタを解説

退職届・退職願に印鑑が必要かを、押印なし・認印・シャチハタの違いとともに示した図解

退職届や退職願を用意するとき、「印鑑は必ず必要なのか」「シャチハタでもよいのか」と迷う人は少なくありません。

会社から指定された書式に押印欄がなければ、印鑑なしで提出してよいのかも気になるところです。

結論からいうと、退職の意思表示に押印が一律に必要と法律で定められているわけではありません。ただし、会社指定の書式や就業規則で押印を求められている場合は、その手続きに従うのが基本です。

押印する場合は、朱肉を使う一般的な認印を選びましょう。シャチハタ、実印、銀行印を使う必要はありません。

この記事では、退職届・退職願に印鑑が必要なケースや、印鑑なしで提出した場合の対応、使う印鑑の種類、押す位置まで詳しく解説します。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

退職届・退職願に印鑑は必要?先に結論

退職届や退職願に印鑑が必要かどうかは、次の順番で判断します。

  • 会社指定の書式や提出方法を確認する
  • 押印欄があれば、朱肉を使う認印を押す
  • 会社指定の書式に押印欄がなければ、その書式に従う
  • 電子提出の場合は、会社が指定する方法に従う
  • 特に指定がなければ、認印を押して提出するのが無難

民法第627条は、期間の定めのない雇用契約について、労働者が解約を申し入れられることを定めています。しかし、押印された退職届を提出すること自体を、退職の成立条件とはしていません。

そのため、印鑑がないという理由だけで、退職の意思表示が直ちに無効になるとは限りません

一方、会社が退職届の書式や提出手続きを定めている場合は、その手続きに沿って進めるのが円滑です。厚生労働省の資料でも、就業規則に退職手続きが定められている場合は、その手続きに従うよう案内されています。

迷ったときの判断

会社指定の書式に押印欄がある
→ 朱肉を使う認印を押します。

会社指定の書式に押印欄がない
→ 勝手に押印欄を作らず、その書式に従います。

自分で退職届を作成する
→ 特に指定がなければ、認印を押しておくと安心です。

電子データで提出する
→ 電子印鑑を自己判断で貼り付けず、会社の提出方法を確認します。

なお、民法第627条の扱いは、基本的に期間の定めのない雇用契約を対象としています。有期雇用契約などでは扱いが異なる場合があるため、この記事では印鑑と書類手続きを中心に解説します。

スポンサーリンク

退職届が印鑑なしでも直ちに無効になるわけではない

退職届に印鑑を押していないからといって、それだけで退職の意思表示が必ず無効になるわけではありません。

大切なのは、本人が退職する意思を明確に示していることと、その意思が会社へ伝わっていることです。

ただし、法律上の意思表示と、会社内で必要とされる事務手続きは分けて考える必要があります。

法律上、押印は一律の成立条件ではない

民法第627条には、退職の申し入れに印鑑が必要であるという定めはありません。

したがって、氏名や退職の意思が明確に記載され、本人から会社へ提出された書類であれば、印鑑がないという一点だけで意思表示が当然に無効になるとはいえません。

ただし、退職をめぐってトラブルが発生した場合には、本人がいつ、どのような内容で意思表示をしたのかが問題になることがあります。

そのため、紙で提出する場合は、

  • 提出した書類のコピーを残す
  • 提出日を記録しておく
  • 誰に渡したかを控えておく
  • メールで提出した場合は送信記録を保存する

といった対応も大切です。

会社指定の書式に押印欄がある場合

会社から渡された退職届に押印欄がある場合は、原則としてその欄に押印します。

押印欄があるにもかかわらず印鑑なしで提出すると、書類の不備として差し戻される可能性があります。

これは、印鑑がなければ退職できないという意味ではなく、会社内の手続きに必要な書類が完成していないと判断されるためです。

円滑に手続きを進めるためにも、次の内容を確認しましょう。

  • 会社指定の退職届があるか
  • 就業規則に提出方法が書かれているか
  • 自筆署名が必要か
  • 押印欄があるか
  • 提出先は直属の上司か、人事・総務か

会社指定の書式がある場合は、インターネット上のひな形よりも会社の書式を優先します。

印鑑なしで提出してしまった場合

印鑑を押さずに提出したことに気づいても、すぐに退職届が無効になると考える必要はありません。

まずは、提出先の上司や人事・総務へ確認しましょう。

会社側がそのまま受理すれば、改めて押印する必要がない場合もあります。

一方、押印済みの書類を求められた場合は、新しい用紙を用意して再提出します。

提出済みの退職届へ後から印鑑だけを押すのではなく、会社の指示に従って対応するのが安全です。

退職日が近い場合や、会社が書類を受け取ってくれない場合は、提出日や連絡内容が分かる記録を残しておきましょう。

スポンサーリンク

退職届に使う印鑑は認印でよい

退職届や退職願に押印する場合は、朱肉を使う一般的な認印が適しています。

実印や銀行印のような重要な印鑑を使う必要はありません。

印鑑の種類ごとに、適切な使い方を確認していきましょう。

認印・三文判

会社から特別な指定がなければ、退職届には一般的な認印を使用します。

認印とは、日常的な書類の確認や届け出などに使う印鑑です。印鑑登録をしていない印鑑でも構いません。

市販されている既製品の印鑑、いわゆる三文判でも、朱肉を使って鮮明に押せるものであれば通常は十分です。

印鑑の価格よりも、次の点を確認しましょう。

  • 氏名と印鑑の姓が一致している
  • 印面が欠けていない
  • 印影が鮮明に出る
  • 朱肉を使うタイプである
  • 会社から別の指定を受けていない

結婚などで姓が変わった場合は、現在会社に届け出ている姓の印鑑を使うのが基本です。不明な場合は人事・総務へ確認してください。

シャチハタ・浸透印

シャチハタなどの浸透印は、退職届や退職願では避けたほうが無難です。

シャチハタは、印面にインクが染み込んでおり、朱肉を使わずに押せる便利な印鑑です。

しかし、会社によっては、正式な社内書類への使用を認めていないことがあります。

また、ゴム製の印面は押す力によって印影が変わることがあり、長期間保存する書類には適さないと判断される場合があります。

手元にシャチハタしかない場合でも、急いで押して提出するのではなく、一般的な認印を用意するか、会社へ確認しましょう。

シャチハタを使ったからといって、本人の退職意思が必ず無効になるわけではありません。ただし、書類の再提出を求められる可能性があります。

実印

退職届に実印を使う必要はありません。

実印とは、市区町村へ印鑑登録をした印鑑です。不動産取引や自動車の登録、重要な契約などで使用します。

退職届は、通常、印鑑登録証明書を添えて本人確認をする書類ではありません。

実印を押してはいけないとまではいえませんが、重要な印鑑を社内書類に使用する利点はほとんどありません。一般的な認印を使用しましょう。

銀行印

銀行印も退職届に使用する必要はありません。

銀行印は、預金口座の開設や窓口での手続きなどに使用する大切な印鑑です。

銀行印を社内書類に使用すると、印影を不必要に外部へ示すことになります。防犯上の観点からも、銀行印とは別の認印を使うのが安心です。

電子印鑑

退職届をPDFや社内システムで提出する場合は、会社が電子印鑑を認めているか確認してください。

紙に押した印鑑を画像にして貼り付けただけでは、会社の定める電子提出方法として認められない場合があります。

会社が、

  • 社内申請システム
  • 電子署名
  • 指定された電子印鑑
  • メール添付による提出

などの方法を定めている場合は、その指示に従います。

自分で作った電子印鑑を、確認せずに使用するのは避けましょう。

退職届に使う印鑑の選び方を、会社指定・紙提出・シャチハタ・電子提出のケース別に示した図解

退職届の印鑑を押す位置

会社指定の退職届に押印欄がある場合は、その欄に押します。

押印欄のない退職届を自分で作成する場合は、一般的に署名した氏名の近くへ押印します。

縦書きと横書きでは、印鑑を押す位置が異なります。

縦書きの場合

縦書きの退職届では、所属部署と氏名を書き、氏名の下または氏名の末尾付近へ押印します。

氏名の文字に印影を大きく重ねる必要はありません。

印鑑を押す場所には多少の違いがありますが、次の点を守れば問題ありません。

  • 氏名の近くに押す
  • 氏名が読めるようにする
  • 本文や退職日に重ねない
  • 用紙の端へ寄せすぎない
  • 会社指定の押印欄があれば、その位置を優先する

横書きの場合

横書きの退職届では、氏名の右側に押印するのが一般的です。

会社指定の書式に「印」や「㊞」と書かれている場合は、その場所に収まるように押します。

押印欄がない場合は、氏名の右側に適度な余白を確保します。

ただし、会社の書式に押印欄がなく、印鑑も求められていない場合は、余白へ無理に印鑑を押す必要はありません。

退職届の印鑑を押す位置を、縦書きは氏名の下、横書きは氏名の右、押印欄がある場合は欄内と示した図解

スポンサーリンク

退職届の印鑑をきれいに押す方法

退職届を書き終えたあと、最後の押印で失敗してしまうことがあります。

印鑑をきれいに押すために、次の手順で進めましょう。

1.用紙を平らな場所へ置く

机が硬すぎる場合は、用紙の下に印鑑用のマットや薄い紙を敷きます。

柔らかすぎる場所では印影がにじむことがあるため、適度な硬さのある場所を選びます。

2.印面の汚れを確認する

印面に古い朱肉やほこりが付いている場合は、柔らかい紙などで軽く拭き取ります。

印面が欠けている印鑑は使わないようにしましょう。

3.朱肉をつけすぎない

朱肉へ印鑑を強く押し付けると、インクがつきすぎて印影がにじみます。

軽く数回たたくようにして、印面全体へ朱肉をつけます。

4.印鑑を真上から押す

押す位置を決めたら、印鑑を真上から置き、前後左右へ軽く力を加えます。

印鑑を大きく動かすと、印影が二重になったり、かすれたりするため注意してください。

5.押した直後は触らない

押印直後の印影を指や用紙でこすると、朱肉が広がります。

しばらく乾かしてから、退職届を折ったり封筒へ入れたりしましょう。

印鑑を押し忘れた・失敗したときの対処法

退職届への押印を忘れたり、印影が薄くなったりしても、慌てて上から押し直してはいけません。

正式な書類では、見た目を整えるためにも、新しい用紙で作り直すのが最も確実です。

印鑑を押し忘れた場合

提出前に気づいた場合は、会社の書式を確認してから押印します。

会社指定の書式に押印欄がなければ、印鑑が必要かを確認してもよいでしょう。

提出後に気づいた場合は、人事・総務や提出した上司へ連絡します。

会社から再提出を求められた場合は、印鑑を押した新しい退職届を用意してください。

印影が薄い・かすれた場合

印影が薄くても、上から重ねて押すのは避けましょう。

印鑑の位置が少しずれると、二重の印影になり、かえって見づらくなります。

印影が誰の印鑑か確認できないほど薄い場合は、新しい用紙で作り直すのが適切です。

印鑑が斜めになった場合

印影が少し斜めになっただけで、文字がはっきり読める場合は、そのまま受理されることもあります。

ただし、自分で作成した退職届で、提出前に気づいたのであれば、書き直したほうが安心です。

印鑑の傾きを修正しようとして、横にもう一度押すことは避けてください。

二重に押してしまった場合

印鑑を二重に押した場合や、押印中にずれて印影が二重になった場合は、新しい用紙で作り直します。

二重線、訂正印、修正液、修正テープなどで印影を消すのは適切ではありません。

退職届の書き損じや修正方法については、退職届の書き損じはどうする?修正テープは使える?正しい対処法を解説も参考にしてください。

シャチハタを押してしまった場合

シャチハタを押して提出してしまった場合は、自分の判断で訂正せず、会社へ確認します。

会社がそのまま受理する場合もあれば、認印を押した退職届の再提出を求められる場合もあります。

再提出する場合は、シャチハタの印影に二重線を引いたり、横に認印を押したりせず、新しい用紙へ書き直します。

退職願も印鑑の扱いは基本的に同じ

退職願についても、会社指定の書式に押印欄があれば、朱肉を使う認印を押します。

押印欄がない場合や電子提出の場合は、会社の指定に従ってください。

退職願と退職届は、一般的には次のように説明されます。

  • 退職願:会社へ退職の承認を求める書類
  • 退職届:退職する意思を届け出る書類

ただし、書類の名称だけで法的な性質が必ず決まるわけではありません。

厚生労働省は、「退職願」という名称であっても、会社の承認を求める合意退職の申し込みと、会社の承諾にかかわらず辞めるという辞職の意思表示の両方が考えられ、実際には厳密に区別されず使われることもあると説明しています。

そのため、

  • 退職願なら会社が承認しない限り絶対に退職できない
  • 退職届なら、どのような場合でも必ず2週間後に退職できる

と一律に考えるのは適切ではありません。

期間の定めのない雇用か、有期雇用か、どのような文面で意思を伝えたかなどによって判断が異なる場合があります。

この記事では、退職願と退職届のどちらであっても、印鑑については会社の指定を確認し、押印するなら認印を使うのが無難だと覚えておきましょう。

退職届をパソコンで作った場合も署名・押印を確認する

退職届の本文をパソコンで作成できるかどうかは、会社の規定によって異なります。

会社指定の書式がなく、パソコンで作成する場合でも、氏名だけは自筆で署名するよう求められることがあります。

作成前に、次の点を確認してください。

  • パソコン作成が認められているか
  • 氏名は自筆で書く必要があるか
  • 押印が必要か
  • 紙で提出するか
  • 電子データで提出するか

パソコンで作成した紙の退職届に押印する場合も、朱肉を使う認印を使用します。

電子データで提出する場合は、紙へ押した印鑑を画像として貼り付けるのではなく、会社が指定した電子署名や申請システムを使いましょう。

退職届を郵送する場合は押印漏れを確認する

退職届を郵送する場合は、封筒へ入れる前に、署名や押印の漏れがないか確認します。

特に、書類を折って封筒へ入れたあとでは、印鑑の押し忘れに気づきにくくなります。

郵送前に、次の項目を確認しましょう。

  • 退職日が正しい
  • 作成日が正しい
  • 宛名が正しい
  • 所属部署と氏名を書いている
  • 必要な場合は押印している
  • 印影が乾いている
  • 会社指定の宛先を確認している
  • 必要に応じて添え状を付けている

朱肉が乾かないうちに退職届を折ると、反対側の用紙に印影が移ることがあります。

押印後は少し時間を置き、乾いたことを確認してから折りましょう。

退職届を郵送するときの添え状については、退職届の郵送で添え状の書き方は縦書き?例文まじえてご紹介します!で詳しく解説しています。

スポンサーリンク

退職届の印鑑に関するよくある質問

退職届に印鑑がないと退職できませんか

印鑑がないことだけを理由に、退職の意思表示が直ちに無効になるとは限りません。

民法第627条は、退職の申し入れについて、押印された退職届の提出を成立条件とはしていません。

ただし、会社指定の書式に押印欄がある場合は、社内手続き上の不備として再提出を求められる可能性があります。

法律上の意思表示と、会社内の書類手続きは分けて考えましょう。

退職届の押印欄がない場合はどうしますか

会社指定の書式に押印欄がない場合は、勝手に押印欄を追加せず、その書式に従います。

自分で作成した退職届の場合は、会社へ確認するか、特に指定がなければ氏名の近くへ認印を押して提出すると安心です。

電子提出の場合は、紙の書類と同じ方法ではなく、会社指定の提出方法を確認してください。

100円ショップの認印でもよいですか

印鑑の価格によって、退職届の効力が変わるわけではありません。

朱肉を使う一般的な認印で、氏名と印影が確認できるものであれば、通常は高価な印鑑を用意する必要はありません。

ただし、印面が欠けているものや、鮮明に押せないものは避けましょう。

退職届に実印を押してもよいですか

実印を押すこと自体が直ちに問題になるとは限りませんが、退職届に実印を使う必要はありません。

印鑑登録証明書を添付する書類でもないため、一般的な認印で十分です。

実印や銀行印とは別に、日常の届け出に使う認印を用意しましょう。

シャチハタを押した退職届は無効ですか

シャチハタを押したという理由だけで、退職の意思表示が必ず無効になるとは限りません。

ただし、会社の正式書類として認められず、認印を押した退職届の再提出を求められる可能性があります。

提出前であれば、シャチハタではなく朱肉を使う認印へ変更しましょう。

パソコンで作成した退職届に電子印鑑を使えますか

会社が電子印鑑や電子提出を認めている場合は、指定された方法で提出できます。

一方、紙での提出を求められている場合や、会社が電子印鑑を認めていない場合は、PDFへ印影画像を貼り付けても受理されない可能性があります。

会社の社内システムや人事・総務の案内を確認してください。

印鑑を押した退職届は撤回できませんか

退職の意思表示を撤回できるかどうかは、印鑑を押したかどうかだけでは決まりません。

その意思表示が、

  • 会社の承認を求める合意退職の申し込みなのか
  • 一方的に退職する辞職の意思表示なのか
  • 会社へすでに到達しているのか
  • 会社が承認しているのか

などによって異なります。

厚生労働省も、合意退職の申し込みと辞職では、撤回できる時期が異なると説明しています。

退職の撤回や会社とのトラブルがある場合は、労働局の総合労働相談コーナーや、弁護士などの専門家へ相談してください。

まとめ

退職届・退職願への押印が、法律上すべてのケースで一律に必要とされているわけではありません。

ただし、会社指定の書式や就業規則で押印が求められている場合は、その手続きに従う必要があります。

押印するときは、次の点を覚えておきましょう。

  • 会社指定の書式や提出方法を最初に確認する
  • 押印欄があれば、朱肉を使う認印を押す
  • シャチハタは避ける
  • 実印や銀行印を使う必要はない
  • 押印欄がない場合は、会社へ確認する
  • 押印を失敗した場合は、重ね押しせず新しく作り直す
  • 印鑑なしで提出した場合は、人事・総務へ確認する
  • 電子提出では会社指定の方法に従う

退職届や退職願は、退職の意思を伝える大切な書類です。

印鑑の有無だけにとらわれず、会社の書式や提出方法を確認し、不備のない状態で提出しましょう。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
社内文書・手続き