神社やお寺に出す手紙の宛名には正式な書き方ってないのでしょうか。
普通の手紙と同じで御中をつければよいといいます。
でも、そういわれても、
- 会社や団体以外につけてもいいの?
- なんかしっくりこないんだけど、本当にいいの?
- ほかに書き方はないの?
など本当のところどうなのって知りたいですよね。
たとえば、お守りの郵送をお願いしたいとき、お札をいただきたいとき、あるいはご祈祷や法要のお願いなど——
相手が神社やお寺だと、余計に「失礼がないか」「常識から外れていないか」が気になりますよね。
でも、実はそこまで堅苦しく考えなくても大丈夫なんです。
この記事では、そんな疑問をお持ちのあなたにお答えします。
神社やお寺へ出す手紙の宛名には御中と書けばよい
手紙の宛先が神社やお寺であろうと、宛名の書き方は一般の手紙と何も変わりません、これは本当です。
特別な関係者の間でつかわれるような宛名書きを、わざわざ一般の人が真似することもないです。
神社やお寺への依頼ごとの手紙であれば、
- 〇〇神社 御中
- 〇〇神社 社務所 御中
- 〇〇寺 御中
- 〇〇寺 寺務所 御中
- 〇〇院 御中
これで何も問題ありません。
中には「企業、役所、団体ではないので御中は一般には使いません」なんていう意見もありますが、それは間違いです。
御中の意味と正しい使い方がよくわかっていないからでしょう。
たしかに「神社やお寺に御中はしっくりこないなぁ」と感じる方もおられるでしょうが、日常的に書きなれていないからそう感じるだけです。
見る人が見れば、ちっとも変ではありませんから「御中」で大丈夫です。
御中でよいという理由
「えっ、やっぱり“御中”でいいの?」と半信半疑の方へ、納得していただけるよう理由をわかりやすくご説明します。
「御中」とは、「中の人へ」を表す「中」に「御」という丁寧語を付けた言葉です
「〇〇寺 御中」なら、「〇〇寺にいる、どなたか様へ」という意味合いになりますから、

宛先に届けばあとは誰が読んでくれても用件は伝わる、という内容の手紙を出す際に用います。
ですから、この人に読んでほしいという場合には御中は使いません、というより、使ってはいけないのです。
読んでほしい人を特定する場合は、宛名を次のようにします。
宮司、住職を宛名にするなら
「御中は違う気がするし、名前もわからないし……」と迷う方には、役職名+様という書き方が安心です。
- 〇〇神社 宮司 〇〇様
- 〇〇神社 禰宜 〇〇様
- 〇〇神社 権宮司 〇〇様
- 〇〇寺 住職 〇〇様
- 〇〇院 住職 〇〇様
にします。
宮司、住職などは会社にたとえれば役職名にあたりますので、
〇〇株式会社 営業部長〇〇様
と書くのと同じことです。
なお、役職者の個人名がわからないけど、どうしても気持ちの上で、「御中」はしっくりこない!
のであれば、無理することありません。
- 〇〇神社 宮司 様
- 〇〇寺 住職 様
にすればいいんです。
- 〇〇神社 様
- 〇〇寺 様
でもかまいません。
神様や仏様は、そんなことには目くじらをたてたりしません。
自分の気持ちが良い宛名書きが結局は一番です
神社やお寺への手紙の書き出しはどう書く?

宛名の書き方と並んで悩みやすいのが「書き出し」の言葉です。
お守りのお願い、法要の相談、墓じまいなど、場面ごとにふさわしい文面を選びたいですよね。
以下に、神社・お寺それぞれに対応した例文をまとめましたので、目的に合ったものをご活用ください。
神社やお寺への手紙だからといって、一般と比べ特に違う書き方があるわけではありません。
宛名が、宮司様とか、ご住職様となるだけで、あとは普通の手紙と同じように、時候の挨拶、相手の安否を気遣った一言などを書いてから主文を書くながれとなります。
ただ、友人、親戚、同僚などへの手紙と同じ感覚で書くというわけにもいかないでしょうから、ちょっと改まった丁寧な書き方をすればよいと思います。
神社宛手紙の書き出し例文
以下に、神社宛ての丁寧な手紙の書き出し例文を3つご紹介します。お守りの郵送、お札の郵送、御祈祷のお願いといった実用的なシーンを想定しています。
お守りを送ってほしい場合
拝啓
初夏の候、貴社におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
いつも地域の平穏をお守りくださり、心より感謝しております。
このたび、遠方に暮らす家族の健康を願い、御社にて授与されている健康守りをお送りいただきたく、お願い申し上げます。
必要な初穂料につきましては、同封の郵便為替をご確認くださいませ。
何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
お札を送ってほしい場合
謹啓
梅雨の候、宮司様におかれましては益々ご健勝のことと拝察申し上げます。
平素よりご加護を賜り、誠にありがとうございます。
さて、我が家では毎年貴社のお札をお祀りしておりますが、今年は参拝がかなわず、郵送にての授与をお願いしたく、筆を取らせていただきました。
必要な初穂料は同封させていただきましたので、ご確認いただけますと幸いです。
ご多忙中恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
謹白
御祈祷をお願いしたい場合
拝啓
晩春の候、宮司様におかれましてはますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
突然のご連絡失礼いたします。
このたび、家族の就職に際し、心願成就の御祈祷を賜りたくお願い申し上げる次第です。
当日は都合がつかず、代理でのご祈祷となりますが、何卒ご対応いただけますと幸甚に存じます。
祈祷料は同封いたしました。詳細は別紙にてご確認くださいませ。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
敬具
お寺宛手紙の書き出し例文
いくつか例文を紹介します。
(「謹啓・謹白」は「拝啓・敬具」に比べて敬意の位が上の、より丁寧で相手を敬った表現となります。)
謹啓(拝啓)
早春の候 ご住職様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
長年にわたりお世話になっている○○町の○○と申します。 今回、ご連絡させていただいたのは、私の家系に関することでございます。 可能であれば、曾祖父の代に遡り、詳細な情報をお聞きしたいと存じております。 お忙しい中恐縮ですが、お願いできますでしょうか。ご 都合の良い時間を教えていただけますと幸いです。 近日中に、改めてお電話させていただきますので、その際は何卒宜しくお願いいたします。
謹白(敬具)
謹啓(拝啓)
早春の頃 ご住職様におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
日頃より〇〇家先祖を供養していただき誠にありがとうございます。
さて、過日の〇〇の17回忌法要に際しましてはお参りもできず申し訳ございませんでした。
お布施並びに塔婆料、供花料などを同封させて頂きましたのでお納めく下さい。
ご住職様の益々のご健勝を祈念申し上げ御礼とさせて頂きます。
謹白(敬具)
謹啓(拝啓)
秋風が肌に心地よい季節となり、ご住職様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申しげます。
いつもお世話になっております、〇〇県の〇〇でございます。
さて、突然ではありますが、墓じまいの件でご相談させていただきたく筆を取りました。
私どもの住まいが遠方であり、お彼岸にもなかなかお参りができないことが長年の気がかりとなっていました。
そこで、今回こちらの住居の近くにお墓を移したく検討しております。
これまでの先祖に対する手厚いお世話には、感謝の言葉しかございません。
誠に勝手な申しでかと思いますが、近いうちにお電話でご相談させていただきたく思っております。
何卒、ご対応いただきますようよろしくお願いいたします。
謹白(敬具)
拝啓
時候の候、貴職のますますのご健勝をお祈り申し上げます。
いつも〇〇家の先祖のお守りを賜り、心より感謝しております。
先日はお電話でお伝えした通り、故〇〇の一周忌および初盆の法要にご参加いただき、誠にありがとうございました。
このたびは、お布施や塔婆料、供花料を同封いたしました。少額ではございますが、どうかお受け取りください。
最後に、ご住職の一層のご健康と幸福をお祈りし、お礼を申し上げます。
敬具
謹啓
時節柄、貴職におかれましてはますますご壮健のことと存じます。
平素は〇〇家の先祖供養を賜り、深く感謝しております。
このたび、私ども家族が引越しを行いましたので、新住所を通知させていただく次第です。
下記に新住所を記載いたしますので、住所変更の手続きをお願い申し上げます。
最後になりますが、ご住職の一層のご健康をお祈りしつつ、新しい連絡先のご案内とさせていただきます。
令和〇年〇月
謹白
(旧住所)
(新郵便番号)
(新住所)
名前
(新電話番号)
追伸 供養料を同封いたしました。何卒、お受け取りください。
まとめ
神社、お寺さんに手紙を出すときの宛名は次のようにします。
神社やお寺の中のだれでもよければ、
- 〇〇神社 御中
- 〇〇神社 社務所 御中
- 〇〇神社 御中
- 〇〇神社 社務所 御中
- 〇〇寺 御中
- 〇〇寺 寺務所 御中
- 〇〇院 御中
神社やお寺にいる特定の人に出すなら
- 〇〇神社 宮司 〇〇様
- 〇〇神社 禰宜 〇〇様
- 〇〇神社 権宮司 〇〇様
- 〇〇寺 住職 〇〇様
- 〇〇院 住職 〇〇様
が最も一般的な宛名書きになります。