吉日とは?○月吉日の意味と正しい使い方【手紙・ビジネス文書】

吉日とは?○月吉日の意味と正しい使い方を示すアイキャッチ画像

吉日とはどんな日なのか、○月吉日とはどういう意味なのか、そしてビジネス文書で日付をぼかしたいときに使ってよいのか迷うことはありませんか。特に「ビジネス文書 日付 ぼかす」「吉日 月をまたぐ」といった場面では、失礼にならない書き方を知っておきたいところです。

この記事では、吉日の基本的な意味から、手紙や案内状で使われる○月吉日の書き方、ビジネス文書での日付のぼかし方、使ってはいけない文書、月をまたぐときのマナーまで、まとめて解説します。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

吉日とは?意味と読み方

まずは「吉日」という言葉そのものの意味を押さえておきましょう。吉日は、読み方として「きちじつ」「きつじつ」「きちにち」などがあります。

意味としては、祝い事などをするのに良い日がら、縁起が良い日、めでたい日といったニュアンスを持つ言葉です。結婚式や開店、引っ越しなど、新しい門出の日を決めるときに「吉日」を意識して日取りを選ぶことも少なくありません。

カレンダーなどに載っている六曜(大安・友引など)や、天赦日・一粒万倍日といった開運日をまとめて、縁起の良い日としてざっくり「吉日」と呼ぶこともあります。ただし、これらはあくまで縁起をかつぐための目安であり、科学的に証明されたものではありません。生活の潤滑油として、ほどよく付き合うくらいの感覚でとらえておくとよいでしょう。

「○月吉日」とは?手紙・案内状での日付の書き方

挨拶状や案内状などでよく見かける「○月吉日」という表現には、「○月の佳き日」という意味があります。具体的な日付(○月○日)ではなく、その月の縁起のよい日を選んで書いたことを示す、少し改まった日付の書き方です。

本来、手紙の日付は「2025年4月5日」のように日まできちんと書くのが基本です。ただし、慶事(お祝いごと)の案内状などでは、あえて日付をぼかして「2025年4月吉日」とすることがよくあります。めでたい用件にふさわしい佳き日を選びました、という気持ちを込めた書き方です。

たとえば、次のような文書の日付には、○月吉日を使うのが半ば慣例になっています。

・婚礼(結婚式・披露宴の招待状)
・建築関係(地鎮祭・上棟式などのお知らせ)
・会社や団体の記念行事(創立記念祝賀会、周年パーティーなど)
・還暦や喜寿など、おめでたい日を祝う案内状

このような慶事の案内状では、日付を「○月吉日」としておくことで、「この月の佳き日を選んでお送りします」というメッセージになります。送り手の気持ちをさりげなく添えられる、伝統的な表現と言えるでしょう。

スポンサーリンク

ビジネス文書で「吉日」や「月だけ」の日付を使うときのルール

次に、多くの方が気になる「ビジネス文書で日付をぼかしたいとき」に、吉日や月だけの表記を使ってよいのかどうかを整理しておきましょう。ポイントは、その文書で日付がどれほど重要な意味を持つのか、という点です。

「○月吉日」を使ってよいビジネス文書

ビジネスの世界でも、内容によっては吉日を使うことがあります。この場合は「縁起をかつぐ」という意味合いと、「作成日をあえてぼかしておく」という実務的な理由の両方が関係しています。

たとえば、次のような文書は、日付を「○月吉日」としても差し支えありません。

・各種ダイレクトメール(キャンペーン案内など)
・お客様各位への「資料送付のご案内」
・株主向けの優待品贈呈のご案内
・展示会・説明会など各種行事の案内状

これらの文書は、一度に大量に印刷して、数日から数週間かけて順次発送することが多いものです。作成日と投函日がずれてしまうこともありますが、内容そのものは「いつ書いたか」が問題になる性質ではありません。そのため、日付を「○月吉日」としておけば、「この月の佳き日に作成した案内」という意味を保ちつつ、事務処理上も扱いやすくなります。

日付を「○年○月」のみにしてよいケースと注意点

ビジネス文書の中には、日まで書かず「2025年4月」「2025年4月現在」のように、年と月だけを記載することもあります。たとえば、会社案内や統計資料、定期レポートのタイトルや表紙などです。

このような場面では、「厳密な作成日」よりも「どの時点の情報か」がわかれば十分なケースが多く、月まで書いておけば実務上問題になりにくいと言えます。ただし、報告書やレポート本文の日付欄など、後から内容の正確さを確認する可能性がある部分では、日付を省略しない方が安心です。

「ビジネス文書 日付 月のみ」「送付状 日付 月のみ」といったニーズもありますが、迷ったときは、将来トラブルになり得るかどうかを基準に考えるとよいでしょう。後々、「いつ作成された書類か」が争点になり得る文書では、日付をぼかさないのが基本です。

お礼状・請求書など「吉日」を避けたい文書

一方で、吉日や○月吉日を使わない方がよい文書もあります。検索でも「お礼状 吉日」「請求書 吉日」といったクエリが見られますが、次のような文書では、日付をごまかしたり、縁起をかつぐ表現を使ったりしないのがマナーです。

・お礼状全般
・請求書・領収書・見積書・発注書
・契約書・覚書・同意書などの契約文書
・議事録・稟議書・各種報告書
・遺言書
・葬儀や法事など弔事に関する案内

お礼状は、相手への感謝の気持ちを、できるだけ早く、率直に伝えることが大切です。書いた日付をあいまいにする意味はほとんどなく、「○月吉日」のようなぼかした日付はふさわしくありません。受け取った相手も、「いつ書いてくれたのか」がわかった方が安心です。

また、遺言書は最新の日付のものが有効とされるため、「○月吉日」のような不明瞭な日付は絶対に避けるべきです。契約書や請求書なども同様で、将来のトラブルを防ぐために、正確な日付の記載が欠かせません。

弔事の案内に「吉日」を使うのも適切ではありません。吉日は縁起の良い日を指す言葉なので、葬儀や法要といった場面とは相性が良くない表現です。ビジネスの場であっても、公的な性格を持つ文書や、証拠性が重要な書類には、必ず具体的な日付を書くようにしましょう。

スポンサーリンク

「○月吉日」で月をまたいでも失礼になる?

よくある疑問の一つに、「○月吉日と書いた招待状が、翌月に届いてしまったら失礼にならないか」というものがあります。たとえば、挙式が4月27日の結婚式招待状を、2月吉日の日付で発送した場合、投函が2月末になると、3月に受け取る人も出てきます。

結論から言えば、これは特に失礼には当たりません。日付は「その招待状を作成した日・投函した日」を示しているにすぎず、「受け取る日」と必ずしも一致するわけではないからです。2月に投函したのであれば、日付が2月吉日となっているのは自然なことです。

実際に月をまたいで招待状を受け取った人の多くは、挙式の日付や会場など、必要な情報を確認することに意識が向いています。差出日の細かなずれを気にする人はあまり多くありません。「郵便が混んでいたのかな」と一瞬思う程度で、失礼だと受け取られるケースはほとんどないと考えてよいでしょう。

もちろん、余裕を持って発送するに越したことはありませんが、「○月吉日で出した招待状が翌月に届いたら失礼かどうか」という点については、過度に心配する必要はありません。

文例で見る「○月吉日」の使い方

最後に、○月吉日をどのように使えばよいか、イメージしやすいように簡単な文例を挙げておきます。実際に使う際のたたき台として参考にしてください。

文例1(結婚式の招待状)
2025年4月吉日
春たけなわの折 皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。私たちはこのたび結婚式を挙げる運びとなりましたので 下記のとおりご案内申し上げます。

文例2(会社創立記念パーティーの案内)
2025年10月吉日
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。おかげをもちまして 弊社は本年創立三十周年を迎えることができました。つきましては 日頃の感謝を込めて ささやかながら記念パーティーを開催いたしますので ご案内申し上げます。

文例3(顧客向けDM・資料送付の案内)
2025年5月吉日
拝啓 新緑の候 ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。このたび 新サービスのご案内資料を同封させていただきましたので ご高覧賜れましたら幸いに存じます。

いずれの場合も、「○月吉日」という日付は、文書の内容において作成日の正確さがそれほど重要ではない場面で用いられています。もし、お礼状や請求書など、日付が大きな意味を持つ文書であれば、同じような文章であっても「2025年5月1日」のように、日までしっかり記載するのが基本です。

まとめ

吉日とは、祝い事などをするのに良い日がら、縁起が良い日、めでたい日を指す言葉です。カレンダーの六曜や開運日などをまとめて、広く「吉日」と呼ぶこともありますが、あくまで縁起をかつぐための目安として、ほどよい距離感で付き合うのがよいでしょう。

○月吉日は、「○月の佳き日」という意味で、結婚式や会社の記念行事など、慶事に関する案内状によく使われる日付の書き方です。一方で、お礼状や請求書、契約書、遺言書、弔事の案内、公的な文書など、日付の正確さが重要な文書には、吉日を使わず、具体的な年月日を記載するのが原則です。

ビジネス文書でも、DMや各種案内状のように、作成日が厳密でなくても問題になりにくいものについては、「○月吉日」や「○年○月」といった、日付をやわらかくぼかした表現を使うことがあります。ただし、後々トラブルのもとになり得る文書では、日付をごまかさない、という意識を持っておくと安心です。

○月吉日で月をまたいで届いたとしても、それだけで失礼になることはほとんどありません。大切なのは、用件にふさわしい日付の書き方を選ぶことです。吉日を上手に取り入れて、相手への気配りが感じられる手紙や文書づくりに役立ててみてください。